Let's 処遇改善等加算トレーニング

法定福利費等の事業主負担分はどう算出するか?

こんにちは!
社会保険労務士法人こどものそら舎です。

今週の『Let's 処遇改善等加算トレーニング』をお届けします。

処遇改善等加算の概要や運用のルール、運用上のお困りごとを
一問一答形式でご案内いたします。

処遇改善等加算について改めて整理し、
理解を深める機会としてぜひご活用ください♪


〓〓〓〓〓〓〓〓〓★[ 問  題 ]★〓〓〓〓〓〓〓〓〓

処遇改善等加算の通知で示されている「事業主負担増加見込総額」
及び「基準年度の処遇改善等加算の加算額に係る法定福利費分」
を算出する<算式>は「標準」とされていますが、
別の方法による算定でもよいということでしょうか?

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↓解↓答↓解↓説↓は↓こ↓ち↓ら↓へ↓



■━■━■━■━■[ 解答 解説 ]■━■━■━■━■


処遇改善等加算の通知で示されている「事業主負担増加見込総額」
及び「基準年度の処遇改善等加算の加算額に係る法定福利費分」
を算出する<算式>は「標準」とされていますが、
別の方法による算定でも構いません。

ただし、別の方法で算定する場合は、
算定の考え方について合理的に説明できることが必要です。

処遇改善等加算を職員へ支給する金額を計算する際は、
以下の要件を満たすことが必要です。

★通知 2(1)―――――――――――――――――――――

区分2と区分3のそれぞれにおいて、
「加算による改善等見込総額」が「加算見込額」を下回っていないこと。

また、加算当年度の翌年度において、
加算による改善等実績総額が加算額を下回った場合は、
その全額を速やかに職員の賃金(※1)と
加算による改善額に伴う法定福利費等の事業主負担分として支払うこと。


※1…退職金、法人の役員等としての報酬、法定福利費等の事業主負担分は
   職員の賃金に含みません。

※2…加算額には職員の賃金の改善に伴う法定福利費等の事業主負担分が
   含まれていることから、加算額との比較に当たっては、
   実際に支払った職員の賃金の改善に併せて増加する法定福利費等の
   事業主負担分も含めることができます。
―――――――――――――――――――――――――――――


また、それぞれの用語は、以下の通り定義されています。
―――――――――――――――――――――――――――――
●「加算による改善等見込総額」
「加算による改善見込総額」と「事業主負担増加見込総額」を
合計して得た額(千円未満の端数は切り捨て)


●「加算による改善見込総額」
施設に勤務する各職員について「加算による改善見込額」を
合算して得た額


●「加算による改善見込額」
賃金改善実施期間における「賃金見込額」のうち、
各施設で決定する範囲の職員に対し、基本給、手当、賞与又は
一時金等のうちから改善を行う賃金の項目を特定した上で、
毎月払い、一括払い等の方法により加算額を配分する賃金額をいい、
各施設においてその名称、内訳等を明確に管理しているもの。

加算による改善見込額の算定方法について、
直近の給与改定時に基本給の引き上げや手当の創設、
一時金等の支払いにより、前年度より給与を引き上げている場合、
その一部を切り出して、加算による改善見込額と整理することは可能。


●「事業主負担増加見込総額」
各職員について「加算による改善見込額」に応じて増加することが
見込まれる法定福利費等の事業主負担分の額を合算して得た額。
次の<算式>により算定することを標準とする。

<算式>
①「加算前年度における法定福利費等の事業主負担分の総額」
   ÷
②「加算前年度における賃金の総額」
   ×
③「加算当年度の加算による改善見込額」

※注)①÷②により、「法定福利費の料率」が計算できます。

●「加算見込額」
区分2「賃金改善分」及び区分3「質の向上分」の加算見込額

―――――――――――――――――――――――――――――

簡単にまとめると、

“区分2・区分3として施設に入ってきた加算額は、
 職員への支給とその支給に伴って増える法定福利費(事業主負担分)に
 使ってください。”

“職員への支給に伴って増える法定福利費(事業主負担分)は、
 原則として「職員への支給額」に「法定福利費の料率」をかけて算出します。”

ということです。


このとき、「職員への支給額」に「法定福利費の料率」を掛けるのではなく、
「職員への支給額」と「職員への支給に伴って増える法定福利費(事業主負担分)」の合計金額
「法定福利費の料率」を掛けている事例(事例1)が見受けられます。

また、区分2・区分3として施設に入ってきた加算額
「法定福利費の料率」を掛けて算出した金額を、
加算額から控除して職員に支給している事例(事例2)も見受けられます。

これらの計算方法の場合、本来職員に支給しなければならない金額が
支給できていないということになります。

適切に職員への支給を行えるよう、計算方法が誤っていないかを改めて確認しましょう。


<事例2の具体例>

区分2・区分3として施設に入ってきた加算額=1,000,000円
「法定福利費の料率」=14%               の場合、

1,000,000円×14%=860,000円 ←860,000円を職員に支給すればよいのかというと…。

860,000円に「法定福利費の料率」を掛けると、

 860,000円×14%=120,400円

860,000円+120,400円=946,000円 となり、加算額と比べると、54,000円の差額が!

1,000,000円をすべて使うためには、【877,193円】を職員に支給します。


★参考:
こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)」
第4版(令和7年9月2日時点版)No.45

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/2fed7bf5/20250905_policies_kokoseido_141.pdf

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