こんにちは!
社会保険労務士事務所こどものそら舎です。
『こどものそら通信』の今月号のテーマは、
【ワークシート「人生キャリア100年時代につなげる雇用チェック表2」で
みんなが元気に長く働きたい環境づくりに取り組もう!】
です。
コンテンツでは、
「人生キャリア100年時代につなげる雇用チェック表2」として
「私の働き方シミュレーションシート」をご案内します。
園で働いている職員が将来の自分の働き方をどんなふうに考えているのかを
書き込めるワークシートです。
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先月号の『こどものそら通信』に引き続き、
今月号も令和3年4月1日に改正施行された『高年齢者雇用安定法』を
取り上げます。
先月号では、園の現在の定年制度と65歳までの働き方が
どうなっているのか整理しました。
65歳までの雇用確保措置の導入は法令上で“義務”とされています。
その義務を果たしているかを先月号で改めて確認ができましたね。
今月号では、法令上は“努力義務”である「70歳までの就業機会の確保」
について検討を進めていきましょう!
まず「70歳までの就業機会の確保」とは何かですが、
改正法では次の措置が挙げられています。
1.70歳までの定年引き上げ
2.定年制の廃止
3.70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5.70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a 事業主が自ら実施する社会貢献事業
b 事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業
これらの措置のうち少なくともひとつの措置を導入するよう
努めなければなりません。
導入する措置は複数でなくても大丈夫です。
また、定年を67歳に引き上げて70歳までの継続雇用制度を導入するなど、
複数の措置を柔軟に組み合わせることもできます。
導入する措置を決めるときに悩むポイントとしては、
どの措置を導入すればよいのか、
どの措置が自園に合うのかという点ではないでしょうか。
そこで、まずは園で働いている職員が、
将来の自分の働き方をどんなふうに考えているのかを
把握することから始めましょう。
職員が将来の働き方についてどんなふうに考えているのかがわかると、
どの措置を導入することが園にとっても職員にとってもよいのかが
少しずつ見えてきます。
60歳というとまだまだ先のことに感じ、
イメージするのがなかなか難しい職員もいるかもしれません。
漠然としていてもよいので、働き方について今の考えを確認してみましょう!
それでは早速ワークシートの活用方法についてご案内していきます。
*****●会員限定コンテンツのご案内●*****
★「人生キャリア100年時代につなげる雇用チェック表2」
「私の働き方シミュレーションシート」活用講座★
《step1:いつの時点での職員の働き方を確認するか決めましょう》
今月号のワークシートでは、
「60歳になったときにどんな働き方をしたいか」とともに
「私が○歳になったときにどんな働き方をしたいか」を書き込めるように
なっています。
「60歳になったときにどんな働き方をしたいか」は、
70歳までの就業機会確保措置の導入を検討するための記載項目です。
また、「私が○歳になったときにどんな働き方をしたいか」は、
近い将来、例えば3年後や5年後の園の人員配置を考えるときや
それぞれの職員の中長期的なキャリアビジョンを把握するときに役立つ記載項目です。
園としていつの時点での職員の働き方を知りたいかを踏まえて、
「○歳」の年齢設定をしましょう。
一律に、例えば3年後の年齢に設定してもよいですし、
「30歳」「35歳」「40歳」「50歳」と区切りのよい年齢に設定してもよいです。
または、職員自身に何歳の時点での働き方を考えるか決めてもらってもよいです。
年齢設定ができたら、ワークシートのかっこ内に年齢を記入します。
今と60歳との間にワンクッションを挟むことで、
それぞれの年齢での働き方がイメージしやすくなります。
《step2:ワークシートに職員の想いを書いてもらいましょう》
ワークシートを職員に配り、
「私が○歳になったときにどんな働き方をしたいか」、
「60歳になったときにどんな働き方をしたいか」を書いてもらいます。
どんな働き方を希望する場合でも、
「働くためにこれから自分自身で気を付けておくこと」を
職員自身にも考えてもらうことがポイントです。
『児童福祉施設の設備及び運営に関する基準』においては、
「児童福祉施設の職員は、常に自己研鑽に励み、
法に定めるそれぞれの施設の目的を達成するために必要な知識及び
技能の修得、維持及び向上に努めなければならない。」
と定められています。
『保育所保育指針』でも、
「各職員は、自己評価に基づく課題等を踏まえ、
保育所内外の研修等を通じて、保育士・看護師・調理員・栄養士等、
それぞれの職務内容に応じた専門性を高めるため、
必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めなければならない。」
と定められています。
園が求めたことに応える形で資質を向上させていくことも大切ですが、
職員自らが「どんなことに気を付けて保育に携わるか」を考えて
自ら資質を向上させていくことも「人生キャリア100年時代」では
より重要になってきます。
「働くためにこれから自分自身で気を付けておくこと」を考えることで、
「保育園の職員として働き続けるために何が必要か」を考えるきっかけとなり、
それにより資質の向上に励むことにつながることが期待されます。
《step3:職員と面談し、共通理解を深めましょう》
職員がワークシートに記入した内容をもとに面談を行い、
職員が希望する働き方について園と職員との間で共通理解を図りましょう。
面談の結果、感じたことなどをワークシート下部のコメント欄に記入します。
どんな働き方をしたいかは職員の置かれた状況などによって変化していくものです。
毎年度など定期的にワークシートの記入や面談を行い、共通理解を深めていきましょう。
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「70歳までの就業機会確保措置」のどれを導入する場合でも
まずは職場環境を整えることが必要になってきます。
厚生労働省の統計によると、
働く高年齢者が増加したこともあり、
労働災害のうち、60歳以上の労働者が占める割合は4分の1以上、
労働災害発生率は、若年層に比べ高年齢層で相対的に高い、
という結果が出ています。
高年齢者は被災しやすく、重症化しやすいこともあり、
労働災害が起こらないような工夫が求められます。
例えば、保育所内のハード面では、
転倒防止のために通路の幅を充分確保する、
整理整頓をして通路や階段、出入口などに物を放置しない、
床や通路の滑りやすい箇所には滑り止めを設ける、
腰痛防止のため作業しやすいおむつ交換台や洗い場を設ける、
などです。
園内の設備は誰にでも優しい造りになっていますか?
保育所内のソフト面では、
重い物を上げ下げする作業をできる限り少なくする、
子ども用の机やいすを使うなど不自然な体勢になる場合は
休憩・休止を挟んでできる限り連続しないようにする、
などです。
園の業務は体への負担が少ない作業内容になっていますか?
職場環境の整備は高年齢の職員に限って求められることではありません。
誰もが安心して安全に働き続けるために、
園と職員が協力して少しずつ職場環境を整えていきましょう。
職員が考える働き方を把握できたら、
次は具体的にどの措置を導入するか検討をしていきます。
措置の導入にあたっては、園長やまもなく定年を迎える職員だけでなく、
中堅職員や労務の専門家をメンバーとする委員会を立ち上げ、
労使が話し合う場を設けることで納得感のある制度を作ることにつながります。
委員会では、それぞれの措置を導入したときのメリットやデメリット、
導入したときの問題点や課題、それに対する対応策などを整理して、
園が目指す方向と職員のニーズを踏まえて導入する措置を決めていきます。
導入する措置を決めた後は、職員への周知や就業規則の改定などを行い、
みんなが元気に長く働き続けたい環境づくりにより一層取り組んでいきましょう。
ワークシートの取組を進める際にお困りごとがありましたら
Zoomなどのオンラインツールを活用してサポートいたします。
お気軽にお問い合わせくださいませ。
∽∽∽● 参考資料のご案内 ●∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
高年齢者のための職場環境の改善についての参考資料として、
『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン』と
『エイジアクション100』をご紹介します。
ぜひご覧くださいませ。
■『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン』(厚生労働省、令和2年3月公表)
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000609494.pdf
■「エイジアクション100」(中央労働災害防止協会、令和3年3月改定)
https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202103_01.pdf
∽∽∽● ご提案と厚生労働省助成金のご案内 ●∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
「年齢に関わらず意欲と能力に応じて働き続けられる制度を整えたい!」
とお考えの先生にこどものそら舎からご提案です!
キャリアパスや賃金体系、自己評価チェックリスト、ライフデザインシートを
一緒に整えていきませんか?
担当社労士が園に1週間毎日通勤し、一緒に考えていきます。
詳しくはご案内をお送りしますので、ご興味のある方はご一報ください♪
制度整備のために使える厚生労働省の助成金制度も
ご希望に応じてご案内します。
例:『65歳超雇用推進助成金』「65歳超継続雇用促進コース」
65歳以上への定年引き上げ、定年の定めの廃止、
希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、
などのいずれかを導入した法人に対して助成金が支給されます。
《助成金額》
例)定年60歳の場合、定年を70歳に延長すると120万円
※厚生労働省リーフレットURL:
https://www.mhlw.go.jp/content/000763756.pdf
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◇「こういったことが知りたいな!」「話題のあれってどういうこと?」など
取り上げてほしいテーマや情報がありましたらぜひお知らせください。
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