こんにちは!
社会保険労務士事務所こどものそら舎です。
『こどものそら通信』今月号のテーマは、
「同一労働同一賃金への取組を進めよう!その3:
これからの待遇はどうしよう?ワークシートで待遇の見直しを進めよう!」
です。
コンテンツでは、
「取組ワークシート5:職員区分別待遇の見直しシート」と題して、
待遇の見直し案の検討からスタートし、
見直し案をもとに待遇の性質・目的や支給内容などを整理して、
見直し案が同一労働同一賃金に適したものになったか確認できるワークシートを
ご紹介します。
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今月号の『こどものそら通信』では、
9月号でご案内した取組段階1.~6.のうち最終段階となる、
「6.待遇差がある理由が不合理であるならば、不合理を解消する是正策の検討」
をご案内していきます。
*****●会員限定コンテンツのご案内●*****
★~★~★保育施設版 取組ワークシート5を使った取組の進め方★~★~★
≪1.先月号のおさらい≫
先月号では、【1・現在の待遇についての確認内容】に記入することで、
現在の待遇の支給状況を整理し、
職員区分によって待遇の支給内容に差があるのか、
差がある場合は、差がある理由とその理由の合理性、
また、差の内容は必要な待遇に見合うかなどを考え、
待遇の見直しが必要かを確認していきました。
【1・現在の待遇についての確認内容】で、
項目11の「【差がある理由】は合理的か」で“不合理”に○がついた場合、
または、項目12の「【差の内容】は【必要な待遇】に見合うか」で
“見合わない/わからない”に○がついた場合は、
今月号の【2・現在の待遇を踏まえた見直し内容】をもとに、
待遇の見直しを進めていきましょう。
≪2.待遇の見直し案の検討≫
まずは、項目13の「待遇の見直し案」に、これからの待遇をどうするか、
どのような待遇にできそうかを踏まえて見直し案を記入します。
見直し案は思いつく限り書き出してみましょう。
そのなかから今後の待遇としてどの案を採用するかを検討していきます。
待遇の見直しでは、例えばこれまで非常勤職員に支給していなかったものを
支給することにする場合など改善の方向で見直すときは、
もととなる原資が必要になることもあります。
待遇の見直しは、原資をどのように確保するかといった園や法人への影響とともに、
今働いている職員やこれから働く職員の働きやすさや働きがいなどに影響してきます。
どの案を採用するか検討するときは、「園や法人への影響はどうか」、
「職員への影響はどうか」をイメージしながら進めると選びやすくなります。
採用する見直し案を決めたら、項目14の「採用する見直し案」に記入します。
項目14に記入した案をもとに、項目15以降を検討していきましょう。
≪3.「住宅手当」でシミュレーションをしてみよう≫
コンテンツの記入例では、「住宅手当」を例に取組を進めています。
住宅手当の当初の「性質・目的」は、
「職員の住宅にかかる経済的負担を配慮し、住宅にかかる費用の一部を補助するもの」
であり、「支給決定基準」を満たす正職員は、全額支給されていました。
それに対し、非常勤職員の場合は、そもそも支給対象ではなかったり、
支給対象でも正職員より支給額が低かったりと、待遇に差がありました。
しかし、住宅にかかる費用は、正職員だけでなく非常勤職員でも
負担をしているものです。
そのため、住宅手当の当初の「性質・目的」である「住宅費用の一部補助」では、
職員区分によって待遇に差があることは、合理的な理由がない限り、
「不合理である」と判断される可能性が高く、待遇の見直しが必要でした。
今回の見直し案では、4つの案を挙げました。
そのなかから案3「住宅手当の性質・目的を見直し、同時に支給決定基準も見直す。」
を採用し、取組をシミュレーションしていきます。
まず、「住宅手当はそもそも何のために支給することにしたのか?」
という原点に立ち返り、性質・目的の見直しを進めたところ、
「正職員と無期雇用職員は他園への転勤があり、転居が必要なことがあるため、
転居費用の補助をすること」が当初の目的だったことがわかりました。
そこで、当初の性質・目的のほかに、
「他園への転勤による転居の可能性があり、その転居による住宅費の負担を補助するため」
という性質・目的があることを明らかにし、あわせて、「支給決定基準」を見直し、
「支給決定基準条件」を満たす職員には一律の金額を支給することとしました。
ただし、住宅手当のそもそもの性質・目的を考慮し、
「他園への転勤可能性がない場合は、
他園への転勤可能性がある場合と比べて低額とすること」とし、
合理的な理由のもと、待遇に差をつけることにしました。
待遇に差がある理由が合理的か不合理かの判断は、待遇の性質・目的によって、
次の3つの要素のうち適切と思われる要素に照らして判断されます。
●待遇差がある理由の判断要素●
1.職務の内容
2.職務の内容・配置の変更の範囲
3.その他の事情
記入例の住宅手当の場合、当初の性質・目的は「住宅費用の一部補助」であるため、
待遇に差がある理由として判断要素1.~3.のどれによっても説明がつかず、
「不合理」と判断される可能性が高いものでした。
見直し後の住宅手当の性質・目的には、「住宅費用の一部補助」に加えて、
そもそもの性質・目的である「転居費用の補助」が含まれました。
これにより、判断要素2.の「職務の内容・配置の変更の範囲」に差があるため、
待遇に差があることになり、待遇に差があっても「不合理とは言えない」となります。
ただし、この差は「職務の内容・配置の変更の範囲」の差に応じた差である必要があります。
今回のシミュレーションでは、「待遇の差は不合理とは言えない」となりましたが、
場合によっては差があることが不合理となることもあります。
判断に困るところですが、例えば職員の立場で待遇差の内容と差がある理由を聞いたとき、
シンプルに納得感を得られるのであれば、「不合理とは言えない」と考えられ、
少しでも疑問に感じるところがあれば、もう一度待遇の見直し案の書き出しから
取組を振り返ってみましょう。
※保育施設版取組ワークシート5は、エクセル版もご用意しております。
エクセル版をご希望の場合はこどものそら舎までご連絡ください。
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今月号では、待遇の見直し案の書き出しからスタートし、
採用する見直し案の選定、見直し案の待遇の内容について考えてきました。
見直し案の待遇の内容がまとまったら、次は職員との話し合いです。
待遇の見直しは、職員にも大きな影響を及ぼすものです。
お互いに意見を言い合い、お互いに納得できる結論になるよう話し合うことで、
これからの働きやすい職場にもつながっていきます。
職員との話し合いが終わったら、見直しのまとめとして、
就業規則や賃金規程などを改定し職員へ周知しておきましょう。
取組を進めるにあたり、「これはどうしたら?」「これはどういうこと?」など
ご不明な点が出てきたらお気軽にお問い合わせください。
取組ワークシートを活用して一緒に取組を進めていきましょう!
今年も残すところあと1か月ですね。
新たな年、新たな年度に向けての準備も始められていることでしょう。
同一労働同一賃金への取組もひとつずつ取り組んでいきましょう。
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◆「同一労働同一賃金制度」への取組は保育施設におけるキャリアパスがあると
より進めやすくなります。
キャリアパスが整っていない、見直したい場合は、
厚生労働省による助成金を活用して金銭的な負担感なく整えることもできます。
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階層的な賃金制度を整備・実施すると、
制度整備助成として50万円が助成されます。
賃金制度の整備・実施した場合の助成金に加えて、
職員の離職率についての目標を達成すると最大180万円が助成されます。
◎同一労働同一賃金制度は、
自己評価・キャリアパスと一体で取り組むことが有効です。
自己評価・キャリアパス構築のガイドとして、
こちらの助成金を活用することをおススメしています。
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取り上げてほしいテーマや情報がありましたらぜひお知らせください。
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