園長先生からの質問 Q16
“保育に役立つ”園長のための保育園の人事労務講座
~よい労務管理はよい保育を生む土づくり~
保育園の近くに新たに分園を設立しました。分園の職員数はパート職員4名をあわせてちょうど10名です。1日の勤務では10名になることはありません。就業規則はまだ作成したり届出したりする必要はないですよね。
1、場所も近く分園なので届出の必要はない
2、1日では10名以上にならないなら届出の必要はない
3、パート職員も含めて10名以上の雇用なら届出する
4、週3/4時間以上の常時雇用者が10名以上で届出する
5、法人や本園で届けていればその他で届出の必要はない
答え(1つ)
答えの詳細
どんなに優秀なマネジメントリーダーでも職員全員で10名以上となれば、
細かなことなどで一人ひとりに目くばせしたり声をかけることも難しいでしょう。
職員が少ない段階から就業規則を作成、届出していくことをおすすめしています。
就業規則の届出で勘違いしやすく質問が多いことは以下の4点です。
1、出勤人数、雇用形態ではなく、雇用(所属)している職員が常態として10 名以上いるかで判断する。
2、就業規則の作成・届出義務は「場所的観念」によって判断される「事業所」単位で考えます。
そのため場所的に独立した分園などは原則として事業場とみなされるため届出が必要です。
3、就業規則は法人単位ではなく事業場単位の届出が原則です。そのため、たとえ共通の就業規則でも、
原則として事業場と判断される各保育園ごとに管轄する労働基準監督署へ届出しなければなりません。
なお、本部などで一括して各保育園分の意見書等を添付する本社一括届出制度は、所定の届出方法が必要です。
4、10名以上のなかに、非常勤職員が含まれているなら、正職員だけでなく非常勤職員の就業規則も必要です。
■労働基準法 第89条(作成及び届出の義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする(一部略)。
1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する事項
2.賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
■労働基準法 第90条(作成の手続)
1.使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2.使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
保育士がいきいき働く、保育園が元気に動く仕組みづくりを支援している社会保険労務士・中小企業診断士の関山です。
専門はこれまでの保育業界での経験を活かした保育園の労務支援・運営支援と想い入れたっぷりの分野です。
珍しい経験から鎌倉・逗子・葉山地域の保育園さまを始め、全国の保育園さまからお問合せいただくことも増えてきました。
そこでここでは園長先生からの労務面やキャリアパスなどに関するご質問やご希望に応えて、
保育園や保育士に役立つ「保育園育て」「保育士育て」の各種ノウハウをお送りしていきます。
ぜひ日頃の保育園の運営や保育士の労務管理、人材育成、キャリアパスなどの参考にされてください。
☆園ごとの具体的な雇用管理やマネジメント等の働きやすい職場環境づくりのための対策などはご遠慮なくご相談ください☆
(社会保険労務士事務所こどものそら舎:http://kodomonosora.jp/)