園長先生からの質問 Q7

“保育に役立つ”園長のための保育園の人事労務講座
~よい労務管理はよい保育を生む土づくり~

1年間変形労働時間制を採用するにあたっての、1年間の労働日数や休日数は、うちの園も大丈夫そうですね。ところで1年間の労働時間数の上限には決まりはあるんですか。

1、特に決まりはない
2、52週×40時間=2080時間
3、365日÷1週間7日×40時間≒2085時間
4、1日の所定労働時間×労働日数
5、1日の法定労働時間×労働日数

答え(1つ)

答えの詳細

1年間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内が、1年間の労働時間数の上限となります。そのため、法定の労働時間数=対象期間の暦日数÷7×40時間の計算で出すことができます。365日÷1週間7日で1年間は約52週です。1年間の歴日数365日÷1週間7日×週の法定労働時間40時間≒2085時間となり、1年間では2085時間が労働時間の上限となります。あくまで計算上ですが、1日の所定労働時間を7時間30分時間と定めている保育園の場合は、1年間の出勤日数は最大で278日(2085時間÷7.5時間=278日)まで可能になります。1日の所定労働時間を8時間と定めている保育園の場合は、1年間の出勤日数は最大で260日(2085時間÷8時間≒260日)まで可能になります。1年間で2085時間の法定労働時間を超えない限り、法定の割増賃金(時間単価×1.25)は必要ありません。ただし、これはあくまで予め計画をして年間休日カレンダーや30日前までに提出するシフト表で定めた枠の範囲である場合に限ります。もちろんその計画や協定書を労働基準監督署に届け出ていることや、1年単位の変形労働時間制の各種要件が正しく就業規則に規定され、周知されていることが欠かせません。「結果として1年間を通して2085時間を超えなければいい」「結果として1年間を通して平均1週40時間以内になればいい」と誤解している保育園さんが実はとても多いですが、NGです。振替が多くなる事情もシフトを急にカバーしなければいけない事情もわかりますが、それは別の解決策があります。シフトの事後の変更は労使ともに少なからず負担の出るものです。職員が心身のコンディションを保ち、単に「1年間」ではなく、「中長期で」長く気持ちよく働いてもらうためにも、結果として労働時間を短縮するという1年単位の変形労働時間制の趣旨を踏まえて適切に運用していきましょう。

 


保育士がいきいき働く、保育園が元気に動く仕組みづくりを支援している社会保険労務士・中小企業診断士の関山です。
専門はこれまでの保育業界での経験を活かした保育園の労務支援・運営支援と想い入れたっぷりの分野です。
珍しい経験から鎌倉・逗子・葉山地域の保育園さまを始め、全国の保育園さまからお問合せいただくことも増えてきました。

そこでここでは園長先生からの労務面やキャリアパスなどに関するご質問やご希望に応えて、
保育園や保育士に役立つ「保育園育て」「保育士育て」の各種ノウハウをお送りしていきます。
ぜひ日頃の保育園の運営や保育士の労務管理、人材育成、キャリアパスなどの参考にされてください。

 

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