園長先生からの質問 Q5
“保育に役立つ”園長のための保育園の人事労務講座
~よい労務管理はよい保育を生む土づくり~
うちの保育園はシフト制で勤務しています。4月1日から1年間変形労働時間制を採用して毎月の残業時間を減らしていきたいと思っています。いつも毎月のシフト表の作成はぎりぎりになってしまったり、作成しても実際には職員の間で勤務日時の変更も多いです。そもそも毎月のシフト表はいつまでに確定して職員に提示すればいいか教えてください。
1、その月のシフト表が始まる前日まで
2、その月のシフト表が始まる30日前まで
3、労働基準監督署に届出をする4月1日まで
4、特に決まりはない
5、その月のシフト勤務が終わって実際に確定したら
答え(1つ)
答えの詳細
まず1年単位の変形労働時間制についてですが、変形労働時間の中でも変形期間が1年と最も長いため、1年の中での繁閑の差を平均するとともに、祝日などのある月と他の月を平均することにより各月の所定労働時間を長く取ることで、確かに残業時間削減の効果が高くなる制度です。また毎年4月1日に毎月の各月の勤務日と所定労働時間が確定していなければならないというわけではなく、最初の月以外の各月については総労働日数と総労働時間だけ定め、各月の30日前までに勤務日と所定労働時間をシフト表で確定することでも大丈夫です。ただ、この勤務日と所定労働時間の確定は各月の初日の30日前までと、その月のシフト表が始まる前日までではなく、相当前からちゃんと計画してシフト勤務をすることが注意点です。1年間の変形労働時間制はともすると職員にとって毎月の勤務時間が異なる不安定な勤務形態になりやすいため、遅くとも30日前までにシフト表を作成して周知することを必要としているのです。また、一度定めた各月の総労働日数と総労働時間は後からの修正は利きません。所定労働時間の振り替えや変更を行った場合は、変形労働時間制によらず、法定労働時間の原則(1日8時間、1週40時間)を適用して、所定時間外労働及び法定時間外労働の清算を行うことになります。基本的に事後に労働日の振り替えを行うことを想定した制度ではないので、頻繁に振り替えが生じる状況であれば、変形労働時間制の効果を発揮できなくなってしまいます。あらかじめ計画的にシフト表を作成し、万一、振替等の調整が必要になった際は職員の負担にならないようにしっかり休みを確保したうえで変更し、振替等の調整をした時間分に関しては、わかりやすくすっきり時間外手当を支給していきましょう。
保育士がいきいき働く、保育園が元気に動く仕組みづくりを支援している社会保険労務士・中小企業診断士の関山です。
専門はこれまでの保育業界での経験を活かした保育園の労務支援・運営支援と想い入れたっぷりの分野です。
珍しい経験から鎌倉・逗子・葉山地域の保育園さまを始め、全国の保育園さまからお問合せいただくことも増えてきました。
そこでここでは園長先生からの労務面やキャリアパスなどに関するご質問やご希望に応えて、
保育園や保育士に役立つ「保育園育て」「保育士育て」の各種ノウハウをお送りしていきます。
ぜひ日頃の保育園の運営や保育士の労務管理、人材育成、キャリアパスなどの参考にされてください。
☆園ごとの具体的な雇用管理やマネジメント等の働きやすい職場環境づくりのための対策などはご遠慮なくご相談ください☆
(社会保険労務士事務所こどものそら舎:http://kodomonosora.jp/)